-保証の基礎知識-
Q1
「私の知人が就職をするというので、身元保証人になってほしいと頼まれましたが、身元保証人になると、どのような責任があるのでしょうか。
知人が勤めている全期間について身元保証人としての責任があるでしょうか。
また、知人が店長などになって身元保証人の責任が重くなるような場合、身元保証契約を解除できるのでしょうか。」
「身元保証人とは」
身元保証契約は、「被用者の行為により使用者の受けた損害を賠償することを約する」ものですが、被用者を常時監督するなどの方法により忠実に勤務するようにし、使用者に損害を被らせないように努めることや、被用者が病気に陥った場合に被用者の身柄を引き取るなど、使用者に対し、それ以上に損害が広がらないように努めることなどを約束するものです。
身元保証契約は身元保証人と使用者との間で締結される被用者のための保証契約です。
身元保証契約も保証契約ですから、保障に関する話はここでも妥当します(たとえば、書面でしなければ効力が生じません。民法四四六条ニ項)。
さらに身元保証人が被用者が雇われている全期間について責任を負ったり、被用者の行為によるすべての損害を賠償しなければならないとすることは身元保証人に極めて酷な結果となるため、身元保証人
の保証責任の範囲・限度を合理的なものに制限し、身元保証人を保護するために、「身元保証二関スル法律」(身元保証法)という特別の法律が定められています。
「身元保証法の内容」
身元保証人になる際に、保障期間を定めていない場合には、その身元保証契約の存続期間は、契約をした日から起算して三年間と定められています。(商工業見習者については五年。身元保証法一条)。身元保証人となった日から三年を過ぎれば、身元保証人の責任はなくなります。
保障期間を定めている場合でも、保障期間が五年を超える場合には五年に短縮されます(身元保証法二条一項)。
また、身元保証契約は雇われる人の雇用期間を超えて存続する理由がないので、身元保証契約自体には期間の定めがない場合でも、保証の対象となる被用者の保障期間が、たとえば一年という契約である場合には、身元保証契約についても同一の期間、すなわち一年間と定めたと解されます。
契約期間の更新についても、更新の時から五年間を超えることができないとされています(身元保証法二条二項)。身元保証契約書には、契約期間満了の一定期間前に身元保証人が期間を更新しない旨の意思表示(期間満了後は身元保証人にならないことを使用者に通告すること)をしないときには、任期満了と同時に当然に期間更新の効力が生ずるということがかかれていることがありますが、このような自動更新特約は身元保証法二条二項の趣旨を無視した脱法的特約であり、期間の満了する時期などを忘れていて更新をしないことを通告する機会を失う危険があることや、このような更新特約がなければ、身元保証人は使用者からの更新してほしいという申し出の際に、被用者の勤務状況その他の事情を聞いたうえで更新するかどうかを決断できるという、身元保証人の事実上の利益が失われてしまうことなどの理由で、同法六条により無効であるとされています。
使用者は、被用者の任務または任地が変わり、これによって身元保証人の責任が重くなったり、監督が困難となる場合には身元保証人にそのことを通知しなければなりません(身元保証法三条二号)。この場合では知人が店長になり、その責任が重くなるわけですから、店長になったことの通知を受けたり、そのことを知ったりしたときには、身元保証契約を将来に向かって解除することができます(同法四条)。
被用者の任務または任地が変更になったことを使用者が身元保証人に知らせなかった場合には、身元保証契約が当然に解約されるということではなく、身元保証法三条の通知義務違反として身元保証人の責任が軽減されます(身元保証法五条)。
上記記載のことを踏まえてご検討いただければと思います。
次回は「身元保証人の責任の範囲」です
※事前告知と掲載内容が異なる場合がございます。予めご容赦下さい。